中国のネット上では少し前まで、土地が限られた日本でいかにして多くの自動車を停められるようにするかという駐車場の技術がしばしば取り沙汰され、タワー型の立体駐車場などが紹介されて「わが国でもぜひ取り入れるべき」といった声が見られた。それが今や、駐車場に関する新しい技術が中国で続々と生まれる時代になったようである。
深セン市のハイテク企業が開発したのは、ロボットによる完全無人駐車システムだ。「完全無人」とは、駐車場を管理するスタッフだけではなく、車を動かすドライバーもいらないことを意味する。しかも、通常の平面駐車場でも使え、大掛かりな機械も必要がないシステムなのだ。簡単に言えば、ロボットが自動で車を駐車位置に「運んでくれる」のだが、その方法にはちょっとした驚きを覚える。
車を運ぶのに使うのは、一枚の平べったい板だけ。この板は自走式で、各種センサーを頼りに自動車に接近してその下に潜り込むと長く伸びる。そして内蔵していた4本のバーで前輪と両輪を挟むようにして持ち上げて車を浮かせると、空いている駐車スペースまでそのまま移動。通常の車庫入れと同じように上手に切り返して車をピッタリと枠内に収めると、バーを引っ込めてタイヤを接地させるとともに本体を元の長さに戻して作業完了となる。コンパクトなのにとてつもなく力持ちで、しかも正確無比な駐車技術を持つこのロボット、車庫入れが苦手な人なら喉から手が出るほど欲しい一品ではないだろうか。
この会社ではさらに、広大な敷地の二段式駐車場に対応した全自動車庫入れロボットシステムも開発。駐車場の入口にあるブースに車を入れると、レーザーセンサーなどにより車種、色、ナンバーを瞬時に識別。ドライバーが車を降りてアプリで準備完了を知らせると、ほどなく大型フォークリフトのようなロボットがブースに到着。車の真横に寄せてフォークを伸ばすと備え付けのバーが開き、先に紹介したロボット同様にそれぞれ2本のバーでタイヤを挟むようにして持ち上げて運ぶ。そして、駐車スペースに着いたら車を優しく接地させて作業完了となる。駐車場というよりも、全自動化された物流倉庫のような光景である。
入口の指定場所に車を停めたらドライバーの仕事はおしまい、というのは日本のタワー式駐車場や一部の大規模な有人駐車場と同じだが、駐車場を運営する側にとってはロボット以外に機械的な設備を導入する必要がない上、機械式の2段駐車場に比べると故障のリスクも大幅に低減できるという大きなメリットがある。
コンパクトなロボットが車を持ち上げて所定の位置まで運ぶ画期的な技術は今後、車庫入れだけでなく自走不能となった車を安全な場所に移動するといった目的での利用も考えられる。そしてゆくゆくは、人間自体を含むありとあらゆる物を持ち上げて運んでくれるようにもなるかもしれない。
(出典:http://www.cfwcloud.com/index.html)
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