上海市虹口(ホンコウ)区。かつて日本人が多く住んでいたことで、日本人にとって歴史的に縁が深い場所でもある。元々旧建築が多く残っているエリアであったが、虹口にあるとある路地に、まるでタイムスリップしたかのような民国時代の街並みが出現。上海市民の間で大きな話題となった。
この街並み、実は映画撮影の為に組まれたセット。監督は国際的にも有名な映画監督ピーター・チャン氏。主演はこれまた日本でも知名度が高い国際派中国人俳優・チャンツィーであることも、注目を集めた。
通常上海で映画撮影というと、郊外にある専門の「映画村」での撮影が多いものの、こちらの作品は市内の路地をまるごと映画セットにした。背景にはこのエリア一帯で近年実施されていた再開発計画で、道の周囲にある建物の住民は軒並み立ち退きに伴う転居済。緩やかにカーブし、沿道にそれこそ民国時代からの歴史的建築も多い、かつ距離もそれほど長くない路地は映画撮影にも適していた模様。
いつごろからセットが組まれ始めたのかは定かではないものの、セットが完成を見せた2024年1月初め、その様子を見かけた市民から大きな反響があり、平日週末問わず多くの人が見に行くようになった。人が多い時間帯、現場では警官も出動し、交通整理をする事態にも。
そんな話題のスポットに足を運んでみることにした。
行ったのは週末。話題のスポットだけにたくさんの人が見物に来ていた。
週末の人出に備えてか、一部セットはビニールシートで覆われている。
これは何の店舗かな?と考えながら見ると楽しい。こちらは「観園」という名称の銭湯。
質屋、葬儀時に死者に着せる服(寿衣)屋?と思われる。
写真館、歯科、金物屋。こちらは元々ある旧建築を利用したセット。
上階は昔の住居を再現。広告は滋養強壮の為の薬用酒。
一部下部が開放されているセットは写真を撮る人で人気。
このセットの中でも一番の見所がこちら。
残念ながら多くの部分がシートで覆われているが、これは「醤園(ジャンユエン)」という、醤油醸造兼販売店を再現したセット。上海料理に欠かせない調味料である醤油。かつて上海の街中には至るところに「醤園」があった。
新作映画のタイトルは「醤園弄(ジャンユエン ロン)」。「弄」とは小路や路地を意味する。民国時代に「醤園弄(ジャンユエン ロン)」で起きた殺人事件をテーマにしている。まさにシートで覆われているこのセットを使って多くのシーンが撮影されているのだ。
「醤園」はとても特色ある建物のため、機会があればシートがなくなったセットをお見せしたい。
【追記】
後日、ロケ地を訪れてみるとシートが完全に外された「醤園」を見ることができた。
貴重な姿の為、動画もご紹介。人と比べるとかなりの大きさであることがわかる。
警備にあたっている方の話によると、撮影が終了次第セットも取り壊される予定とのこと。
今しか見られない光景を見に、興味がある方は行ってみるといいだろう。
所在地
住所:上海市虹口区乍浦路(ジャープルー)※セットは武進路~海寧路と交わる場所にあり
行き方:上海地下鉄10号線「四川北路」駅2番出口徒歩3分
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本日御紹介した「素朴な路地がまるでタイムスリップ!?民国時代の街並みが上海市内に出現。」関連についてもっと知りたい方、写真の使用をご希望の方は、是非お問い合わせください。