成熟した技術により高いエネルギー転換効率を持つことで広く普及してきた単結晶シリコン太陽電池。その最大の弱点は「折れに弱い」ということだったが、中国の研究グループがこのほど、紙のように自由に折り曲げられる単結晶シリコン太陽電池の開発に成功した。
単結晶シリコン太陽電池は1950年代に米国の研究者によって発明され、すでに約70年もの歴史を持つ。当初の変換効率はわずか5%だったが、今では25%以上にまで向上し、理論的には29.4%まで高められるようになった。そして、現在太陽光発電市場の95%以上が単結晶シリコン太陽電池で占められている。今後もさまざまな分野で大きな可能性を秘めている一方で、最大のネックは曲げや振動によって壊れてしまいやすい脆さにあった。
中国科学院上海微系統・信息技術研究所の研究チームがこのほど、フレキシブルな単結晶シリコン太陽電池技術の開発に成功し、紙と同じように曲げたり折ったりできる厚さ60マイクロメートルのフレキシブル単結晶シリコン電池を実現。5月24日に発行された学術誌「ネイチャー」に掲載されるとともに、その表紙を飾った。
研究チームは高速度カメラを使い、単結晶シリコンが曲げ応力を受けて断裂する仕組みを分析。縁の部分にあるV字型の溝から裂け目が生じることを突き止めた。そこで溝の部分をV字からU字に変更してみたところ、容易に断裂しなくなった上、折ったり曲げたりできるようになった。360度以上の曲げ角度になっても、電池が割れたりちぎれたりしなかったという。
また、実用的な大きさである240平方センチ以上のフレキシブル単結晶シリコン電池で折り曲げの実験をしたところ、その変換効率は24%以上をキープ。1000回折り曲げを繰り返しても効率は下がらなかった。また、1万平方センチの大型モジュールで120時間の熱サイクル試験(−70℃から+85℃)を実施したところ、平均のエネルギー損失は0.32%に留まったとのことである。
現在、軽量でフレキシブルかつ低コストな新しい太陽電池として有機薄膜太陽光電池の研究開発が進んでいる。しかし、変換効率が単結晶シリコン電池より低く、まだまだ発展途上段階にあるといえる。そんな中、成熟した技術が確立され、なおかつ大きな弱点を克服した「折り曲げられる単結晶シリコン電池」が急速に普及していく可能性がありそうだ。
(出典:https://www.sohu.com/a/680728442_313745)
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