■「服貿会」に出展された各種新技術の中に…
中国北京市で9月2〜6日に中国国際サービス貿易交易会(服貿会)が開かれた。会場となった首鋼パーク内では、30社近くの「専精特新」(専門性・技術力・独自性・新規性)企業が新材料や量子技術、ソフトウェアシステム、半導体、メタバースとAI(人工知能)、航空宇宙などさまざまな分野の最新技術を披露した。その中には、新開発の軽くて薄いナノ素材を使った防寒ウェアもあり、注目を集めた。薄い生地ながら熱伝導率が極めて低く、透湿性に優れた新素材なのだという。
■8年かけて開発したフレキシブルな断熱ナノ素材
ウェアを開発した北京畳加技術有限公司のブースでは、人の背丈ほどもある生地のロールが目を引いた。この生地こそ、同社の技術チームが8年の歳月をかけて開発に成功したフレキシブルな断熱ナノ素材だ。このロール状の生地は紙のように薄い上、手触りが非常に柔らかく、長さ50メートルで30着の防寒着を作ることができる。薄いこともあって非常に軽量で、分厚くて重いのが当たり前だった防寒着の大幅な軽量化を実現した。
■より薄く、そしてより壊れにくく
同社の首席科学者、鐘飛鵬さんの紹介によると、ナノ多孔質材料が初めて発見されたのは1931年と意外と長く、すでに100年近い歴史を持つという。優れた断熱性能を持つ一方で壊れやすいという欠点を持っており、学術界も産業界もこの課題を克服するために今なお研究にており組んでいるとこのことだ。そんな中、同社の研究チームは従来の概念を打ち破り、分野を横断した研究を進めたことで、壊れやすかったナノ素材を柔軟性のある、しかも通気性も備えた「布」に変えることに成功した。
同社がこの素材を服貿会で発表するのは、実は2020年以来2回目となる。この3年間で布の密度をさらに下げる一方で防寒性と透湿性を向上、手触りをより柔らかくした。そして何より、製造コストを従来の半分にまで引き下げることに成功し、すでに量産を実現したことが大きい。ウインタースポーツ大会の会場など寒い場所での応用やさらなる研究が進んでいるという。
■寒冷地域の冬の「モコモコ」を解消へ
中国北部は冬の寒さが厳しく、ズボンの下に分厚い毛糸のタイツを履き、綿や羽毛の暑いジャケットを着て寒さを凌ぐためにどうしても見た目がモコモコになってしまう。同社が開発した新素材による軽くて薄い防寒服が普及することで、冬の中国でおなじみの光景に変化が生じるかもしれない。また、断熱素材として自動車や家屋建築にも応用できるなど、20以上の産業分野での利用が見込めるとのこと。省エネ、低炭素といった点でも大きな貢献が期待できそうだ。
(出典:https://m.yunnan.cn/system/2023/09/06/032744090.shtml)
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