種々の理由による電力不足で節電が呼びかけられる中、よりによって日本の大部分の地域では異例の早さで梅雨が明け、各地で35度を超える猛暑日を連日記録している。長くなりそうな今年の夏は、「適切に冷房を使いながら節電を心がける」というなかなか難しい課題に取り組まなければならない。
そんな中、中国で6月28日に開かれた新浪財経ESGグローバルリーダーサミットにて、中国の空調大手・珠海格力電器の董明珠会長が自社で開発を進める新技術について言及し「空調分野において電力使用を八十数%抑えることができる。これが世界で普及すれば、地球の温度上昇を0.5℃抑えることができる」と語った。夏の電力消費で圧倒的な割合を占めるエアコンの「電力使用を80%以上抑える」ことができたならば、地球温暖化対策が捗るばかりでなく、電力不足からも解消されるはず。そんな夢のような技術が、果たして本当に実現するのだろうか?
この疑問を解くヒントとなるのが、同社が開発を進めている「ゼロ・カーボン源」エアコンだ。同社は太陽光発電ダイレクトドライブコントローラーを利用してエアコンを運転することで、発電にあたり二酸化炭素を排出しないエネルギーを直接エアコンの電源として最大限に利用しようと取り組んでいるのだ。昨年12月にはIEC(国際電気標準会議)で同社が提案した国際標準「太陽光発電ダイレクトドライブコントローラー 第2部分:運転モードおよび表示」が承認され、今年2月に発布された。
同社の「ゼロ・カーボン源」エアコンは、カスケード型並列圧縮冷却技術、自然冷媒の有効利用、そして太陽光発電とエネルギー貯蔵技術の融合によって実現したものだという。時間や天候によって発電量が大きく変化するという太陽光発電の弱点を蓄電技術によってカバーし、エネルギー情報のインテリジェント管理によって発電、蓄電、電力使用を調節し、高効率かつ安定的なエアコンの運転を実現する。
同社はすでに10年以上前から「ゼロ・カーボン源」エアコン技術開発に取り組んでおり、2010年には中国初の太陽光インバーターエアコンが完成した。これまでにすでに30カ国・地域に行政機関、工場、学校、商業施設、オフィスなどのさまざまな建築に導入されており、脱炭素社会の実現をリードしているという。
「電力使用80%以上カット」というのはあくまで「エアコンに用いる電力の二酸化炭素排出量80%以上カット」ということになるが、地球に優しい取り組みであることには違いない。同社による国際規格づくりの推進により、安全でクリーンな太陽光発電を直接利用したインバーターエアコンが中国だけでなく世界で急速に普及していくかもしれない。
(出典:http://m.xinhuanet.com/tech/2021-12/27/c_1128205066.htm、https://bao.hvacr.cn/202206_2097830.html)
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