今から数年前、中国人観光客が日本に大勢やって来て家電製品や化粧品などを「爆買い」していたころ、日本独特の宿泊施設に注目し体験する現象が見られた。その後中国国内でも似たような施設ができたものの、あまり人気が出ず忘れ去られていった……それは、カプセルホテルだ。狭い日本の空間を最大限利用したカプセルホテルは、広大な国土を持つ中国の人にとってはやはり窮屈だったのかもしれない。
そしてこの1、2年、中国ではカプセルホテルが現地の風土に合わせて独自の進化を遂げたような宿泊設備が出現し、新たなトレンドになっている。その名も「太空艙」(スペースキャビン)という、近未来的な見た目を持ったプレハブホテルだ。中国ではここ数年、設置や撤去が簡単で移動もでき、土地を荒らすこともなく、各種コストが低く済むといった特徴を持つプレハブ建物が注目を集めており、オフィスや販売スタンド、展示スペース、住宅などさまざまな目的に応用されるようになった。「太空艙」もその応用例の1つと言える。
「太空艙」はプレハブゆえに移動が可能で、観光地や大きな公園、農村の田園地帯、保養地をはじめとするさまざまな場所に設置することができる。骨組みは鉄筋の溶接で作られ、外壁はアルミニウム板を採用。保温層としてポリウレタンを内部に用い、二重ガラスの天窓や展望台を備えており、静かで快適かつ抜群の眺望を持つ空間が実現されている。砂漠や草原の真ん中に設置された「太空艙」で一晩を過ごせば、満点の星空を眺めながらゆっくりと流れる時間に身を委ねるという、現代において極上極まりない体験ができることだろう。浜辺の「太空艙」で、寄せては返す波の音だけを聞きながら眠りにつくのも良さそうだ。
地面に設置して広い大地を肌で感じるのもいいし、土台と階段を用意してちょっと高い場所に設置すれば周囲の風景を俯瞰的に見ることができる。いずれにしても、もともとある空間に設置できるため、森林を伐採したり整地したりといった土地の破壊も必要ないし、建設による汚染を生むこともない。環境への配慮、省エネといった昨今の風潮も、「太空艙」が注目され、人気を集める大きな要因となっている。
カプセルホテルのキャビン1つ1つを切り離して巨大化し、そのまま外に放り出したような「太空艙」。中国では都市郊外や農村地域でエコツーリズムの発展に積極的に取り組んでいる。シンプルながらも快適で、より身近に自然を体感することができる「太空艙」が今後ますます増えていくことだろう。
(出典:https://www.163.com/dy/article/I35NL1IR05561UUH.html)
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