早いものでもう年の瀬の12月となった。旧暦で正月を越す中国人にとっては、まだお正月気分ではないものの、上海の街中ではもうすぐ迎えるクリスマスのムードを楽しもうと、各種お店やモールではクリスマスを意識した飾り付けが見られるようになった。
クリスマスの飾りつけの定番というと、クリスマスツリーにサンタクロース。そして上海の最近のクリスマスデコレーションの流行というと、窓にしがみついたサンタクロース。プレゼントを届けにやってきた瞬間をとらえたサンタの飾りは、「爬窗聖誕老人(パーチュアン シェンダン ラオレン直訳:窓登りサンタ)」の愛称がある。
このサンタは数年前、とある歴史的建造物の住民がクリスマスの時期にサンタクロースの飾りをして大きな話題となった。上海でたちまち有名になり、それ以降街中でこの「窓登りサンタクロース」の飾りつけを見かけることが増えていった。
サンタクロースの飾り付けをしている店の多くは小規模な個人商店や沿道に面した個人住宅である。この時期の上海は「窓登りサンタクロース」を見つけるのが楽しい。
今年特にサンタクロースが多く見られることで話題になったのが武康路と愚園路。クリスマスムード盛り上がる2023年クリスマス2つの道をレポする。この二つの道はかつて外国当局が管轄する旧租界だったエリアで、沿道には築100年ほどの洋館や建物が立ち並び、ゆったりとした景観を楽しめる。共に散策に最適の道である。
サンタクロースの飾りの発祥となった武康路。特に有名な建物が武康大楼。淮海中路(ホワイハイチョン ルー)との交差点にそびえる軍艦のような佇まいが見る者を圧倒する。
武康大楼の歴史を紹介すると、建造は1924年。設計は上海に数多くの優れた歴史建築を設計したハンガリー人建築家・ヒューデック氏。武康大楼は三角系の狭小地に建つ建物のため、軍艦のような形になった。観光客のみならず、歴史的建築愛好家の中でもこの建物のファンは多い。
近年武康大楼は上海を代表する歴史的建築として非常に高い人気を集め、週末ともなると建物をひと目見ようと沢山の人が武康大楼を訪ねる。付近の信号では交通整理をする警官が出動し、車道に出てまで写真を撮る人も多いため、渋滞が起こることもしばしばである。
「窓登りサンタクロース」を一気に有名にした、いわば発祥地的存在の武康大楼。今年は果たしてサンタクロースがお出まししているのか?と思いつつ訪れてみると…
今年もベランダにサンタクロースが!しかもちょうど飾り付けた方がベランダに出て階下の人に手を振っていて、付近はちょっとした騒ぎになっていた。
平日にも関わらずこの人手。武康大楼の人気ぶりがわかる。
続いて武康大楼裏手の武康路を歩く。ここは1907年にできた道路である。旧名福開森路(フーカイソンルー、英語表記:Route Ferguson)と呼ばれ、アメリカ人宣教師、教育家のJohn Calvin Ferguson氏が開通に関わった道路である。
長さ1kmほどの道路であるが、沿道にはイギリスやフランス、スペインといったヨーロッパの建築様式の洋館や小規模なオールドマンションが立ち並び、旧フランス租界の面影を多く残している。沿道の建築の多くが上海市指定の優秀歴史建築のため、武康大楼と併せて散策を楽しむ人が多い。そんな武康路でサンタクロースの飾りを探してみた。
次いでサンタクロースの飾りつけが多くあるという話を聞きつけ、足を運んだのが「愚園路(ユーユエンルー)」。19世紀にこの沿道に「愚園」という著名な庭園があったことが道の名前の由来である。
ここは旧租界エリアと言っても、共同租界という、アメリカとイギリス当局が管轄していたエリアで、武康路とは趣の違いを感じる。愚園路も武康路同様今も昔も高級住宅地であるが、集合住宅が多く、武康路の方がゆったりとした雰囲気が強い。
上海旧租界エリアの街路樹はプラタナスが有名である。ここにも多くのサンタクロースの飾りつけがあり、歩く人の目を楽しませていた。
「愚園路」を訪れた日は、沿道に植えられたプラタナスの落ち葉を掃かずに風情を楽しむ期間であったため、沿道には多くの落ち葉がそのままにしてある。
今回は上海のクリスマスの様子を街角レポした。華やかなクリスマスの雰囲気を感じられれば幸いである。
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