春の味覚「刀魚」

 

上海の春に、咲き誇る白玉蘭とともに訪れるのは「刀魚」(Coilia nasus/チョウセンエツ)です。

歴史的には漢の時代の『漢書』と明朝李時珍の『本草綱目』にも「刀魚」が記されています。毎年3月からの2ヶ月の間に、回遊魚の刀魚は産卵のため海から内陸の長江へと遡ります。繁殖前の刀魚は、身が一番柔らかく、骨までおいしく食べられることから、古来より「天下第一鮮」と賛頌されています。

 

「刀魚」は上海人にとって毎年欠かすことのできない春の味覚です。老舗レストラン「老半齊」の「刀魚麺」は魚の切り身こそ見えませんが、刀魚からとった濃厚なスープの新鮮な味がたまらなくおいしいです。旬の刀魚はこのおいしさが美食家たちに絶賛されたことで価格が高騰し、乱獲によって一時的に絶滅の危機に瀕しました。高い時には500グラムで25万円という価格でした。

中国では、2019年から10年間、長江の刀魚を禁漁することにしました。その後上海では、長江の刀魚の代わりに海から水揚げする刀魚と湖で養殖される刀魚を食べるようになりました。少々肉質は違いますが、新鮮な味は変わりません。もちろん価格も安くありませんが前よりは求めやすくなりました。高級な宴会料理はさすがにまだ無理ですが、小さい頃から食べてきた「刀魚ワンタン」は手の届く美味です。刀魚はやはり上海人には忘れられない春の味覚なのです。

株式会社フライメディアは、映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、コーディネーションサービス、ライブ配信サービスをご提供している会社です。
本日御紹介した「刀魚」関連についてもっと知りたい方、写真の使用をご希望の方は、是非お問い合わせください。

このブログを共有する:

最新投稿

台湾 寧夏夜市

ローカルにも観光客にも愛される定番夜市です。コンパクトな一本道に、美食屋台とゲーム屋台がギュッと集結。美食屋台は本格的な台湾の伝統小吃から、異国情緒あふれる料理まで、バラエティに富んでいる。 寧夏夜市の小吃は多彩さに加え

香港精神の象徴:赤いミニバス

2024年12月の香港ロケで訪れた「ミニバス看板資料館」に関して背景を紹介させていただきます。    ●運営方式 1980年代における香港の赤いミニバスの運営方式は、非常にユニークでした。 運行ルート、運行時間、運行便数

「香港」はロケしやすい!!

2024年は、日本のテレビ番組のロケ香港を4、5回訪れる機会がありました。そのたびに、香港という土地が持つ魅力に感心し、撮影のたびに新しい発見をしてきました。今回はその経験を元に、香港での撮影がどれほど素晴らしいか、そし

Copyright 株式会社フライメディア 2024  

Tel: 03-5843-3063 〒170-0013 東京都豊島区東池袋2-44-2庄司ビル2F

  Inspiro Theme by WPZOOM

jaJA