ゼロコロナ対策を掲げる中国で、感染の拡大が続いているが、上海市における新型コロナウイルス感染拡大を受け、小区(コミュニティ)と呼ばれる単位ごとに、複数検体をまとめてPCR検査をしたり、抗原検査をしたりするなど簡易検査で素早く全市民の感染状況を確認する動きが出ている。
自分で簡単にできる抗原検査キットが配布された小区もある(上海)
検査結果で「陽性」であったり、感染の疑いがあった場合などは、小区ごとに2日間の封鎖、12日間の健康観察といった、いわゆる「2+12」という措置が取られるのが原則だが、小区によっては、全く封鎖されないところ、前述の「2+12」が「2+14日間」になったり、「6日間」になったりとまちまちで、その判断基準も明確になっていないため、現地在住の日本人のコミュニティでも憶測や噂なども飛び交い、多少の混乱を招いた。
さらに、計画的な封鎖をしている小区もあれば、突如封鎖を通知される小区もあるため、これまで活躍していた生鮮食品のデリバリーサービスがパンク状態となっている。感染有無に関わらず、店内スタッフや配達員も「封鎖」された小区に内にいるため、深刻な人手不足になっているからだ。飲食店にしても、在庫食材はあるが、デリバリー配達をする人がいなく、注文が入ってもキャンセルせざるを得ないという状況すら出ている。
上海市内では久々に見かけた”路上販売”(上海)
そうした中、スーパーなどでの生鮮食品の争奪戦などもニュースで取り上げられるなど、「新鮮な野菜不足」が目下、SNSでホットなキーワードとなっている。
青果市場が封鎖、スーパーにある”貴重な”野菜(上海・3月中旬)
お米や油、水と違って、ストックが難しい新鮮野菜。野菜人気がこれほどまでに上がるとは、思いもしなかったことだ。新鮮な野菜を入手することが予想以上に困難なため、「野菜」の価値が急上昇し、「野菜=贅沢品」として、「野菜」をとりあげたユニークな内容が次々とSNSに投稿されている。
上海市内エリア別封鎖前のスーパー店内(上海・2022年3月28日撮影)
例えば、新鮮な野菜を購入できなかった消費者が、ふと小区に目を向けると「あらっ、新鮮な⁉︎草が生えている」ということで、SNSでは「食用にできる野草」や「食べてはいけない野草の見分け方」などの投稿がにわか“ブーム”になった。当然、本気で野草を採るのではなく、ユニークな冗談なのだが、長期間、自宅で隔離されていてもちょっとした「遊び心」をもっている現地の市民のたくましさを改めて感じる。
ECサイトで盛り上がる「自宅栽培」キット(上海)
そのほか、この機会に真剣に「室内水耕栽培」セットの購入を考える消費者の投稿も多く、上海市内では、隔離生活が続く3月が「新鮮野菜」の圧倒的存在感を感じる、まさに「野菜月間」となった。これからは、隔離に備えて、室内栽培ができる野菜セットが人気になるかもしれない。
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