2021年版台湾のコロナ対策レポートその11

デルタ株のクラスターが発生した台湾、5月のコロナ蔓延以来減りつつあった感染者数にほっとしたのも束の間、とたんに緊張感に包まれた一週間であった。幼稚園で起きたクラスターはその後、内装業の台湾人男性とその妻、台湾大学病院の麻酔看護師などに感染し、特に日々大勢の年配者、病人に接触する看護師の感染は人々を心配させた。(更にこの看護師はM社のワクチンを接種済みであった。)病院側は即座に1000人以上の接触者全てに検査をしたところ、全て陰性であった。

 

その後また感染者0人の日もあり、完全には楽観視できないが、今回のデルタに関しても押さえ込みがスムーズにできているようだ。ただし、未だ台北、新北、桃園などで感染源不明の感染が発生している為、まだまだ油断はできない状況だ。

 

普段多くの人々で賑わう大型スーパーもガラガラの状態に…

 

食べ歩きが禁止となった事から一時閉店となったスーパー内のアイスコーナー

 

サービスセンターにも厳重な感染対策がとられている

 

今回の幼稚園クラスター騒動で話題のワードとなったのが「埃及爸(アイズーバー):エジプトのお父さん」という言葉だ。感染が広まった幼稚園に子供を通わせているエジプト人男性のことを指しているのだが、8月初旬にエジプトから帰国した為、当時陰性だったにも関わらず「今回のクラスターの発生源では?」と各メディアに書かれてしまった人物だ。隔離処置もきちんと受けていたが、幼稚園のクラスターの件で検査を受けたところ陽性反応が出てしまった事で、「今までの検査結果が間違えで、エジプトからデルタ株のウィルスを持ち込んだのでは?」という疑惑がもたれ、更に当時一緒にエジプトから帰った2人の親族もクラスター後の検査では陽性だった為、ネット上では「埃及爸」「埃及家(エジプト家)」のワードが飛び交い、まるで事件の犯人のような扱いを受けてしまっていた。

 

感染者の足取りを毎回公表している台湾では、感染源となった人は感染理由に因んだ呼び名でネットニュースに書かれてしまう。例えば5月に蔓延した際のスーパースプレッダーだった年配男性はライオンズクラブの元会長だったことから「獅子王」。台中でマスクなしで一晩中カラオケをし、その後クラスターの発生源となった学生達はカラオケの頭文字をとって「K歌王」など。プライバシーを尊重する日本から見ると信じられない事だが、感染源となった人物にはこのような仕打ちが待っているのだ。このネット処刑のお陰もあり、台湾が他の国々と比べコロナを抑え込めているのかもしれない……。

 

「エジプトお父さん」との呼び名ですっかり有名になってしまったエジプト人男性だが、結局その後クラスターが発生した幼稚園に通っていた自分の子供から感染していた事が判明し、ネット新聞で書かれる事はなくなった。コロナに感染するという事は身体的なダメージのみならず、精神的なダメージも与えるという事も大いに言えるだろう。 

 

一刻も早い終息を願うばかりだ。

 

 

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