若手の成長と草の根サッカー人気、不甲斐ない中国代表は生まれ変われるか

2026年1月24日にサウジアラビアで開催されたU23アジアカップ決勝で、中国代表は日本代表に対し0対4で完敗して準優勝に終わった。日本との大きな差を改めて痛感させられるゲームとなったが、その一方で、同大会における中国史上最高の戦績を勝ち取る収穫もあった。

フル代表がワールドカップ予選で敗退するなど未だ長いトンネルを抜け出せない中、若手が歴史的な結果を残した。そして国内では、地域のアマチュアリーグがプロリーグをしのぐほどの爆発的な人気となり、社会現象を巻き起こしている。2025年から2026年にかけての中国サッカー界は、「絶望」と「熱狂」が入り混じる極めて複雑な過渡期にさしかかっている。

■日本戦が突きつけた「質の差」

U23アジアカップの中国代表は、ウズベキスタンやベトナムといった強豪を相手に5試合連続無失点で勝ち上がり、決勝へ駒を進めた。その守備の粘り強さは、間違いなくチームが進歩したことの表れだった。しかし、決勝で対峙した日本との間には、残酷なまでの実力差があった。中国のスタメン平均年齢が21歳だったのに対し、日本は平均19.6歳。本来であればフィジカルで勝るはずの中国が、シュート数で2対8と圧倒され、ボール支配率でも主導権を握られ続けた。日本の小倉幸成らにゴールを許し、手も足も出ずに終わった90分間は、育成年代における「個の力」と「戦術理解度」の差をまざまざと見せつけられる結果となった。

それでも、「アジアのファイナリスト」という肩書きを手にしたことは、長く暗いトンネルの中にいた中国サッカーにとって、一筋の光明であることは間違いない。この先、優秀な若い芽をどう育てていくか、それが問題だ。

■代表チームの凋落と、地方リーグの爆発的ブーム

若手が課題を露呈しつつ大きな希望も見せてくれた一方で、フル代表は相変わらず冴えない。昨年のワールドカップ・アジア予選ではインドネシアに敗れた後、サウジアラビア、オーストラリアにも連敗し、早々に本大会出場の夢を絶たれた。女子代表も昨年11月、イングランドに0対8で惨敗するなど、男女ともにトップレベルの競争力は著しく低下している。不甲斐ない戦績をさらに重ねるならば、フル代表、さらには中国のプロリーグに対するサポーターの思い入れは薄れていく一方だ。

その一方で、中国国内ではサッカーに関する新たな熱狂が草の根レベルで生まれていた。全国各地で「都市リーグ(城超)」と呼ばれるアマチュアサッカーが爆発的な人気を博しているのだ。その発端は貴州省榕江県で数年前に始まった「村超」だろう。プロ1部リーグの「中超」(スーパーリーグ)をもじった、おらが村のサッカー自慢が集まる草サッカー大会だったが、オンライン配信で大バズりし、たちまち全国的な人気になった。

江蘇省で行われる「蘇超」は昨年、わずか半年間でスタジアムに延べ243万人もの観客が詰めかけ、ネット上の関連動画合計再生数は800億回という天文学的な数字を叩き出した。江西省のリーグでは、4万人の観客が地元の愛唱歌を大合唱し、湖南省では観客が木に登って試合を見守るほどの盛況ぶりを見せた。「城超」は今や単なるスポーツイベントの枠を超え、地域経済や観光を巻き込んだ巨大なエンターテインメントへと進化している。

この現象を「中国のサッカーファンは『弱い代表』には愛想を尽かしたが、わが街の『身近なサッカー』には心からの情熱を注いでいる」と評したとしても、何らオーバーな表現ではない。

■「ピラミッドの頂点」から「土台」への転換

代表チームの不振、若手の成長、そして草の根リーグの隆盛。この状況の中、中国サッカー界はようやく根本的な構造改革へと舵を切った。それは、長年続いてきた「代表チームの強化(ピラミッドの頂点)」ばかりを優先し、手っ取り早く結果を求めようとする体質との決別だ。

その意思表示とも言えるのが、昨年1月23日に発足した「中国サッカー職業リーグ連合会」。これはリーグ運営の権限をクラブ側に委譲し、行政と興行を分離する改革であり、プロリーグの自立を促す重要な一歩となる。さらに、昨年11月には国家主導の「国立サッカーユースセンター」も始動した。プロリーグは市場原理に任せ、育成は国が長期的な視点で支えるという、役割分担の明確化が進められている。今回のU23準優勝は、ユース世代では徐々に改革の芽が出始めていることの表れと言えるだろう。


■がまんの先に待つ未来

新たな改革の道を歩み出した中国サッカー界。メディアやファンが抱く「期待しているからこその苛立ち」が簡単には消えないだろう。だが、政府や協会、そして市民が、地方リーグのような草の根文化を育み、育成という地味な土台作りを我慢強く続けることができれば、中国サッカーの未来は決して暗くはない。全ての関係者がそれぞれの役割を果たし、ピラミッドの底辺を広げ続けること。その先にこそ、真に強大なナショナルチームが育つ可能性がある。

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