■ロックダウン明けの上海に登場した、ある「箱」
3月末からの新型コロナの爆発的感染により長期間のロックダウンを強いられ、ようやく日常を取り戻しつつある上海。ロックダウン期間中は住宅地に臨時のPCR検査スポットが設置され、全身防護服姿のスタッフが長蛇の列を作って並ぶ市民の鼻や口から綿棒で検体を擦り取る様子が至るところで見られた。感染が一段落した後もPCR検査は引き続き行われているが、市内ではロボットによるPCR検査ボックスが出現した。
PCR検査ボックスの外観はテーマパークのチケット販売ブースや小さな駅の有人窓口を想起させるような形をしており、正面と側面の片方の上半分がガラス張りだ。天井には日除けの庇も設けられている。ボックスの中を覗くと、ロボットアームが1台鎮座しているのが見える。そして正面のガラスの中心には拳ほどの穴が開いていて「マウスピース設置位置」と書かれており、ボックスの脇には採取開始用のボタンがついている。
■ほぼ全自動で検体採集が可能に
まず、ボックス付近に設置されたスキャナーを使ってスタッフがバーコードをスキャンし、検体採集管をボックス内にセットする。それからボタンを押すとロボットによる検体採集プロセスがスタート。「図の通りマウスピースをセットし、サンプル採集の姿勢を取ったらボタンを押してください」という音声指示に従い、使い捨てのマウスピースを所定の位置にセットし、そこに開いた口を持っていく。サンプル採集の姿勢が取れボタンを押すと、「そのまま動かないでください」という音声が流れる。ロボットアームが採集管の蓋を器用に開けた後、長い綿棒をつまみ上げて被験者の口の中に差し入れる。両側の扁桃腺のあたりで綿棒を動かすと検体の採集が終了し、ロボットは綿棒を採集管に入れるとともに、管からはみ出す部分をハサミでカットする。そして管の蓋を器用に閉めると、消毒を施した後に採集管が入った袋の中に入れて一連の動作が完了である。使用済みのマウスピースを取り出してゴミ箱に捨てると、マウスピースの設置部分がアルコールスプレーで消毒される。
ロボットアームの爪部分には被験者の口の位置を確認するためのカメラ、綿棒を動かす力を制御するセンサーが搭載されている。人によって異なる顔のサイズや口の位置、構造に合わせて最適の場所に綿棒を差し込むようにできているのだ。開発段階で大量の試験を重ねたことで、検体採集の精度を大幅に向上させた。
■仕事が丁寧すぎて時間がかかりすぎ?
デモンストレーションの動画からも見て取れるが、ロボットの動きは非常に丁寧だ。しかしそれゆえに手動で検体を採集するよりもかなり遅い。ただ、ロボットによる検体採取の大きなメリットは、どんな人でも同じように安全に採取ができるという点にある。仕事のがある日は毎日PCR検査を受けているという市民は「もうちょっとスピードアップしてほしいとは思うけれど、ロボットは正確だし動きが安定している。しかも衛生的なので、まあこのぐらいのスピードでもいいかなと感じる」と語る。
■テスト運用を踏まえて本格稼働めざす
上海市静安区に設置された全自動PCR検体採集ボックスは6月下旬から1か月のテスト運営を行う予定で、現在は毎日1時間稼働しているという。子どもの高さにも対応してほしい、最初のバーコードスキャンも自動化してほしいといった意見が寄せられているとのこと。メーカーは利便性向上のためにさらに改良を重ねていき、市内の多くの場所に設置して24時間運用の実現を目指す。
(出典:https://xw.qq.com/cmsid/20220711A0AVE900?f=newdc)
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