中国で秋のカニシーズン到来! 個性豊かなブランドが続々登場

長くて暑い夏の終わりがようやく見え、季節はようやく秋に入りつつある。スポーツの秋、読書の秋など、芸術の秋……などと言われるが、忘れてはいけないのが「食欲の秋」だ。今回は、中国でまさにこれからおいしいシーズンを迎えるカニついての話だ。

credit:北京日報

カニの王様「上海ガニ」

中国のカニと聞いて真っ先に思いつくのが「上海ガニ」という名で知られる大閘蟹(チュウゴクモクズガニ)だろう。「上海ガニ」という名前がついているが、主な生産地は江蘇省蘇州市と昆山市に跨る陽澄湖だ。本場の上海ガニがおいしく食べられるのは秋から冬にかけての4カ月間だけとのことで、オスとメスで旬が少しずれるという。

楊桃美食網
credit:楊桃美食網

オスとメスで微妙に異なる旬の時期

まず先に旬を迎えるのはメス。メスの醍醐味はなんといってもたっぷりと入った味噌であり、もはや上海ガニはこの味噌を目当てに食べているようなものだ。、メスは旧暦10月下旬ごろがピークとのことで、この時期は「黄満殻」とも呼ばれる。気温が低下して寒くなることでメスは来年の繁殖に向けて消化腺と卵巣が黄色いカニ味噌へと成長する。まさに「黄(味噌)が殻いっぱいになる」わけだ。上海ガニの味噌は甘味と深いコクがあり、栄養成分も満点だ。

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そして、旧暦11月上旬になると今度はオスがおいしさのピークを迎える。こちらは「脂膏肥」と呼ばれ、気温の低下とともに脂肪が徐々に蓄積されるとともに、「膏」(こう)と呼ばれる白子が発達してくる。白くネバネバした白子は調理すると半透明になり、メスの味噌とは違った味わいを楽しめることから、こちらも上海ガニ好きにこよなく愛されているという。メスより旬が遅れるのは、成長がメスより遅いためだそうだ。

旬の時期は、その年の気候状況も影響を及ぼし、秋風が早く吹くか遅く吹くかによっても変動があるとのこと。上海では「北西の風が吹いたら大閘蟹を食べる」という。上海ガニの漁が解禁されるのは9月下旬で、10月1日の国慶節から翌年の春節にかけて出荷が行われる。今年の国慶節連休も、上海ガニがごちそうの主役として多くの食卓を彩ることだろう。

「上海ガニ」だけではなくなった! 各地の養殖事情

陽澄湖は、長年にわたり大閘蟹の本場として知られ、中国における食用ガニのトップブランドに君臨してきた。その地位は今なお揺るがないものの、近年では中国各地で養殖が盛んになり、さまざまな地域で育てられたカニが市場に並ぶようになった。

黄河口大閘蟹養殖基地(叮咚买菜黄河口大閘蟹直采基地)

• 黄河口大閘蟹(山東省東営市) 山東省東営市の塩性湿地で養殖されており、身が引き締まっていて甘みが強く、独特の塩味と旨味が特徴。春の昇温が早く秋の降温が早いという自然条件により、陽澄湖などの主流の湖沼区よりも15〜20日早く市場に出回るため、多くのカニ愛好家にとって「最初の旬の味」として親しまれている。

青藏高原大閘蟹産地

• 青蔵(チベット)高原の大閘蟹(青海省) 標高3000メートル以上のチャイダム盆地にある天然湖の非常に澄んだ水で生産されている。この地域の独特な高原冷水環境により、カニの身はきめ細かく、格別の甘みと風味を持つ。個体が大きい一方で、平原地域のカニより1年長い2年半の成長サイクルが必要。天然の餌で自然に育てる低密度の養殖方法で生産量が少なく、希少価値が高い。流通体制の整備により、出荷から48時間で消費者の食卓に届く。かつては「可魯克湖の高原蟹」として養殖、生産されていたが、2016年に生態環境を守るために可魯克湖での生産活動が禁止されたため、養殖地点を移転した経緯を持つ。

• 盤錦河蟹(遼寧省盤錦市) 国家地理的表示製品に指定されている。肉質が柔らかく、風味が独特で、白子も味噌も豊富なことから全国的に高い評価を得ている。出荷前の24時間で空腹状態にして体内の不純物を排出するなど、厳しい品質管理が行われている。

この他にも、江蘇省の洪沢湖大閘蟹や、新疆ウイグル自治区の天山雪蟹などが知られる。各地ではそれぞれ異なる気候や水質、養殖方法を活かしてカニの養殖が行われており、消費者の多様化するニーズに答えている。各地のカニを食べ比べてみて、味わいの違いを感じてみるのも楽しそうだ。

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