清明節の旅行、若者中心に「県域旅行」がトレンドに

4月4日は中国のお彼岸に相当する「清明節」で、4〜6日が3連休になった。本来はお墓参りをして祖先を偲ぶ日であるが、春の行楽シーズン真っ只中ということもあり、連休を利用して旅行する人も多い。特に今年は3月31日〜4月3日まで4日連続休暇を取って9連休を作り、ディープな旅を楽しむ人もいたようだ。

そんな今年の清明節連休の観光市場では、特に「00後」(2000年代)生まれの若者たちを中心に、大都市や有名観光スポットとは真逆の「県域」(中国の行政単位は省→市→県の順)旅行がブームとなっていることが、旅行予約サイトのデータから見て取れた。

■データが示す「県域」旅行ブームの勢い

旅行予約サイト「美団」によると、全国の県域にある5つ星ホテルの予約数が前年の清明節連休に比べて45%増加したという。特に「県域旅行」の人気目的地である貴州省や雲南省では一部の県域における文化観光消費額が同70%以上増加したとのデータもある。さらに、県域の特色ある食べ物に対する関心も高まっており、「貴州野菜」のキーワード検索数が前年同期比で23倍以上になったとのこと。素朴な田舎の風景とともに、地方に眠っている食文化の発掘を求めて「県域旅行」を楽しむ人も多いようだ。

■若者が「県域」旅行に惹かれる背景

若者たちが「県域旅行」を楽しむようになった背景を考察すると、国力増強に伴う自国の伝統文化に対する興味、関心、愛着の高まり、多様でユニークな地方や少数民族の文化や風習への興味、伝統的な手工芸や食文化を体験することへの関心、都市部の喧騒から離れ、自然豊かな環境でリフレッシュしたいという欲求といった要素があるようだ。これまで中国人の旅行というとみんなで有名な観光地に行く、海外の免税店で「爆買い」するといったイメージがあるが、若い世代は日常では得られない体験やリフレッシュといった要素を旅行に強く求めているようだ。これは中国の指導部が掲げる「新たな質」という言葉にも相通じるような印象を覚える。

また、若い世代の「動力源」となっているのが小紅書やTikTokといったSNSの存在だ。まだ知られていない魅力的な場所や体験を発見し、共有したいという欲求から活発な情報のやり取りが起こり、その中から「網紅」(ネットで注目)の穴場スポットが次々出現するといった現象が起きているのだ。

■見逃せない地方経済へのメリット

「県域旅行」ブームは若者の生活の質を高めるだけでなく、現地の文化観光消費額の増加や宿泊施設の需要増、地域の特産品に対する注目度向上と消費拡大といった地方経済の活性化も生む。そして観光インフラが一層整備され、新たな観光資源が発掘、開発されることでより一層観光客が訪れるという好循環を生み、数多くの雇用も生まれることが期待される。このため、「県域旅行」ブームに乗るべく関連産業に対する積極的な支援に乗り出す地方政府も少なくないようだ。

■清明節に人気だった県域旅行先ランキング

最後に、「美団」による清明節の旅行予約人気県域ランキングをご紹介。1位は美しい農村風景を現代に残している浙江省永嘉県、2位は特殊な地質が育む奇石で知られる山東省費県、3位は古代建築博物館や伝統的な陶器「紫陶」が有名な雲南省建水県、4位は無数のハスの花が咲く射陽湖がある江蘇省宝応県、5位は美しい棚田や渓谷が魅力的な湖南省新化県、6位は陕西省定辺県、7位は福建省平潭県、8位は江蘇省睢寧県、9位は河南省光山県、10位は重慶市彭水ミャオ族トゥチャ族自治県だった。

(出典:https://news.qq.com/rain/a/20250401A07O4R00?web_channel=wap&openApp=false&suid=&media_id=)