香港には街市と呼ばれる市場が数多く点在する。
大小規模の違いはあるが、多くは魚・肉・野菜・果物・乾物類・生活雑貨・フードコートなどの売り場から構成されている。
今日ご紹介するのは香港国際空港に近い東涌・逸東の街市。こちらの街市は2016年に大きな改装を終え「香港街市」という名前で再出発をした。
この香港街市、改装終了後は相当な話題となった。その理由は“オールド香港”をテーマとして細かなところまで造りこんだデコレーションにある。
こちらの写真は街市の入り口部分
イギリス統治時代の赤いポスト、看板やポスターなどが古きよき時代の香港を彷彿させる役割をかっている。
昔の香港映画や写真を見ればそっくり同じような光景に出会えそうだ。
香港街市は1960年-1970年代の九龍城エリアの様子を再現して造られているのだという。
マーケットに一歩足を踏み入れれば、この時代の古い建物・窓から突き出して洗濯棒や頭上にはためく洗濯物・様々なポスターや看板・頭上すれすれに飛ぶ飛行機などを見て取れる。この時代の九龍城には旧カイタック空港があった。その為街のすぐ上を飛行機が飛んでいく様は、今でも写真などを通して見る人を引き付けている。
そしてその造りこまれた町並みに当てはめるように、魚屋や肉屋・雑貨屋や床屋が入店をしているのである。
ノスタルジックな街のセットがそのまま現実の生活に重なっているために、訪れた人はタイムスリップをしたかのような気持ちを味わうことができるのである。
手前の店は昔ながらのクッキーやお菓子類を売る店、奥には果物店などが続く
床屋、布屋、雑貨屋などが並ぶ通り
頭上には洗濯物や建物の上を飛ぶ飛行機の翼が見える。
魚や肉、野菜が並ぶ台さえも見どころだ
こちらの台にはたくさんの薬の広告が貼りつけられている
この柱には九龍皇帝を模した文字で何やら書かれている
この九龍皇帝は以前こちらでもご紹介をしているが、街のいたるところに自分こそ、この地を譲り受けた所有者である旨を独特な書体で書き記していった老人のことである。筆者はこの九龍皇帝を香港グラフィッティの父とも呼べるような存在だ、と思っている。
これは映画館のチケット売理場のようだが、実際は街市のサービスセンター
こちらはなんと、お手洗いの中で見つけた洗面ボウル、今は少なくなってきたホーローのボウルが使われていた
マーケットの見どころは建物内部だけではなく、外観にも多くのポイントがある。
街市の外には小食と呼ばれる香港独特のちょっとしたスナック類や豆腐花を売る店が軒を連ねている。そしてそれら店舗の上は、まるで今も当時の人びとが暮らしているかのように造られている。
1960年代の香港の下町生活をたっぷり味わえる街にタイムスリップをしたかのような香港街市。
買い物をする事はなくても、オールド香港を肌で感じる為に足を運んでみるのも楽しいのではないだろうか。(文/写真 香港コーディネーター 矢島園子)
株式会社フライメディアは、映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、コーディネーションサービス、ライブ配信サービスをご提供している会社です。
本日御紹介した「香港街市」関連についてもっと知りたい方、写真の使用をご希望の方は、是非お問い合わせください。