二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーの筆頭格として中国をはじめとする世界各国が普及を進めている太陽光発電。太陽光をより高い効率で電気エネルギーに変換するための研究が日々進められる中で、次世代の太陽電池として注目を集めているのが「ペロブスカイト太陽電池」だ。
「ペロブスカイト」はもともと灰チタン石のことを指し、灰チタン石が持つ結晶構造を「ペロブスカイト構造」と言う。他の物質を合成してもこの構造を作ることができ、広く「ペロブスカイト」と呼ばれるようになった。そのメリットは、現在主流のシリコン太陽電池よりも薄く、なおかつ折り曲げられること。シリコン太陽電池はシリコンウエハーをポリマーシートでコーティングする必要があるが、ペロブスカイト太陽電池は直接材料にプリントしたり塗布したりできる。電池が薄くなることで軽量化も期待でき、設置できる場所もシリコン太陽電池よりはるかに多くなる。
一方で、これまで課題となってきたのがエネルギー変換効率だ。研究開始当初の2010年頃にはわずか3%と低く、シリコン太陽電池に遠く及ばなかったが、最近では20%を超える研究成果が続々と出ており、シリコン太陽電池とほぼ遜色なくなったという。しかも、ペロブスカイト太陽電池は他太陽電池との積層構造とすることで従来の太陽電池でエネルギー変換効率の限界とされる33%を大きく超え、45%以上を実現する可能性も秘めているのだ。先日も、北京市の企業が開発した小面積のペロブスカイト・シリコン積層電池が最大変換効率32.44%を実現、中国での変換効率新記録を更新したとの情報が中国国内で報じられた。
■量産化に向けた中国企業の動きが急加速
中国では昨年からペロブスカイト太陽電池の量産化にむけた取り組みが急速に進み、多くの企業が試験生産を開始した。中国国際金融(CICC)によれば、今年の中国国内のペロブスカイト太陽電池試験生産規模は昨年の350メガワットから3倍以上の1000〜1200メガワットにまで拡大する見込みとのこと。100メガワット規模電池の試験生産を行うリーディングカンパニー、協鑫光電のデータによれば、ペロブスカイト太陽電池の製造コストは1ワットあたり1元とシリコン太陽電池の1.5〜2元に比べて安く、量産化が進めば0.5元もしくはそれ以下にまでコストが下がる見込みだ。
早ければ1〜2年後にはギガワット単位のペロブスカイト太陽電池生産ラインを持つ企業が続々と出てくるとの予測もある。屋外にあるさまざまな「面」に低コストで設置が可能なペロブスカイト太陽電池が、新エネルギー革命の柱である太陽光発電の新たな「革命児」になりそうだ。世界に先駆け「革命」を推進していくのは、やはり中国だろうか。
(出典:https://finance.sina.com.cn/stock/hkstock/ggscyd/2023-02-01/doc-imyeeent0047449.shtml)
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