中国が開発した、上空1000メートルの「空に浮かぶ発電所」

2030年のカーボンピークアウト、60年のカーボンニュートラルという2つのCO2削減目標達成に向けて邁進する中国では、脱炭素化に向けて原子力や風力、太陽光などクリーンエネルギー発電を積極的に進めている。そんな中、江西省では世にも珍しい空中に漂う「発電所」が出現して注目を集めた。

■高度1000メートルでの空中発電に成功
江西省共青城市の鄱陽湖モデル試験研究基地で1月7日、ダクトファン式浮空風力発電システム(通称「空中発電所」)が初めて上空1000メートルの高度での発電に成功した。発電出力は100キロワットを超え、浮空風力発電システムの最大上昇高度と単機の最大発電出力という2つの業界世界記録を更新した。

「空中発電所」は直径15メートル、全長約30メートルで、当日は約15分間かけてゆっくりと上昇し、上空1000メートルの試験高度に到達し、安定した状態で静止した。比較的安定した風が吹く中で、風を受けたタービン発電機が素早く回転して効率的に電力を生み出し、ケーブルを通じて地上の設備に送電した。数時間にわたる試験の結果、「空中発電所」ことS1000型浮空風力発電システムは安定した運転を実現し、高度や風速、発電出力、昇降比などのパラメータもすべて想定の範囲内に収まって、試験飛行が無事成功した。

■「空中発電所」の構造とは
S1000型ダクトファン式浮空風力発電システムは、北京臨一雲川能源技術公司と清華大学、中国科学院空天信息創新研究院などの研究機関が共同で開発したもので、ヘリウム充填のエアロスタットを利用し、軽量化した発電機を設定高度まで上昇させた上で高高度の風力を利用して発電する。関係者によると、従来のダクトファン式浮空風力発電システムの最大上昇高度は297メートル、発電出力は30キロワットだった。同社は昨年10月に湖北省荊門市で高度500メートルでの発電に成功してこの記録を塗り替えており、今回の試験飛行成功により高度と発電出力のさらなる記録更新を実現した。

■空中風力発電の可能性と未来
高高度の風速は速く、風向きも安定しており、年間を通じて吹き続けているため、クリーンで低コスト、かつ安定性が高い風力発電が可能になる。地上500メートル以上の風力資源は人類未開の新エネルギーと言え、これを利用した「空中発電所」の実験は非常に大きな可能性を秘めている。

(出典:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1820818822811030374)