香港では6種類の紙幣が流通している（10ドル、20ドル、50ドル、100ドル、500ドル、1000ドル）。うち10ドル札は香港特別行政区政府により発行されているが、他5種類については3銀行（香港上海銀行・中国銀行・渣打銀行）によってそれぞれ違うデザインで発行されている。考えてみたら物凄い種類の紙幣が流通していることになるが、額面によってそれぞれ色が統一されているので、使用する際に色で見分けながら使うことができて混乱はない。

20ドル以上の5種類の紙幣がこの度新デザインになるという事で、先週香港金融管理局と3銀行による発表が行われた。2018年末に1000ドルと500ドルが導入され、2019年半ばには20ドル・50ドル・100ドルが導入される予定だという。今使われている紙幣は2010年の導入だったので、約8年振りの新紙幣となる。

色合いはいずれも既存の紙幣と同じだが、それぞれの紙幣に描写されるテーマはがらっと変わっている。香港人の心により近く、そして国際都市香港を表すように多方面から表現しているようだ。

それぞれの紙幣のテーマは下記の通りである。

1000ドル札【国際金融都市として繁栄する香港】/500ドル札【壮大な香港ジオパーク】/ 100ドル札【伝統的な広東オペラ】/50ドル札【香港に生息する蝶】/ 20ドル札【飲茶文化】

また、それぞれの紙幣の片面については「縦がき」という珍しいデザインが採用されている。

香港金融管理局のパンフレットより、新1000ドル紙幣のデザインページの抜粋。左から渣打銀行・中央は中国銀行・右は香港上海銀行のもの。1000ドル札のテーマは【国際金融都市の香港】だが、各銀行ともに描写デザインが違っているのが面白い。

こちらは500ドル札【壮大な香港ジオパーク】のページ、左から渣打銀行・中央は中国銀行・右は香港上海銀行。香港ジオパークというのは、西貢エリアにあるユネスコ認定された地質公園の事であり、世界でも珍しい六角柱状節理群など自然が造りだした壮大な景色を見ることができる。

こちらは現在IFCモール (国際金融中心商場）で行われている新札の展示。各銀行とも、それぞれの新紙幣の特徴をアピールしている。

こちらは中国銀行の展示の一部。

尚、新紙幣には幾つかの安全対策がされており、詳細について展示を通して知ることもできる。こちらは安全対策の展示のひとつ、光にかざすとボウヒニアの花や葉と額面の数字が現れるようになっている。

新紙幣発行は少し先だが、発表依頼多くの人の関心を多く引き付けている話題であり、展示ブースも盛況であった。早く新しい紙幣を手にしてみたいものである。（文/写真　香港コーディネーター　矢島園子）

株式会社フライメディアは、映像制作を中心に、海外、主に中国、台湾、香港のリサーチ、コーディネーションサービスをご提供している会社です。
本日御紹介した「香港新紙幣」関連についてもっと知りたい方、写真の使用をご希望の方は、是非お問い合わせください。