中国政府が年内の正式発行を目指している「デジタル人民元」のテスト導入が、北京五輪を契機として急速に進んでいる。北京五輪の会場では中国国民だけでなく、外国からやって来た大会関係者やメディア関係者もコインや紙幣を持たずに買い物や各種決済ができるデジタル人民元の便利さを体感しているようだ。
デジタル人民元はスマートフォンのウォレットアプリを通じて利用するが、アプリが利用できない人向けにカードタイプのハードウォレットも用意されている。ハードウォレットは中国銀行の拠点やセルフチャージ機、指定ホテルなどから簡単に手に入れることができ、中国の銀行口座を持っていなくても現金やクレジットカードからデジタル人民元に両替可能だ。
また、ハードウォレットはデジタル人民元アプリと紐づけすることにより、アプリ上でパスワード設定、残高や使用明細の照会、チャージ、紛失時の無効化といった管理ができるようになり、より便利に、安全にハードウォレットを使用できるようになる。
北京では新型コロナ予防のために設けられた「バブル」の中、外の両方で、さまざまなシーンにおけるデジタル人民元の利用が可能になっていて、地下鉄やバスなどの公共交通機関ではアプリをかざすことで乗車できるほか、有人のチケット窓口でも使える。ショッピングでは王府井などの商業圏やコンビニチェーンでの利用が可能だ。また、23箇所の指定病院でも使え、万里の長城や故宮、円明園といった観光スポットでも利用できるようになっている。さらに、スキー競技が行われている河北省張家口地域でもホテルや病院、薬局、鉄道やバス、高速道路でデジタル人民元決済が可能だ。
国務院によれば、デジタル人民元が試験的に利用可能となっている地域は昨年末現在で北京、上海、蘇州、成都、深センなど各都市に広がり、800万か所を超えるシーンで決済が可能になっている。すでに2億6000万件のウォレットが利用され、取引額は800億元を超えたとのことだ。北京五輪を利用した国内外への積極的なアピールを経て、中国政府はデジタル人民元の正式導入に向けて猛烈なスパートをかけている。
(出典:https://www.sohu.com/a/520811396_260616、https://www.sohu.com/a/521057301_119666)
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